こんにちは、たまおです。
今回はタイトルにある通り、majikoさんの「エミリーと15の約束」という曲を紹介します。
よく親子愛を歌った歌に自分を重ねる人はいますが、私は全くそんな経験はありません。むしろそういうのを毛嫌いしています。
私にとっては親子賛歌ではないということを明記しておきます。
- 親子万歳ではない!
- それでも親は愛してくれてるよ、と言うつもりもない!
- それでも母に愛してほしかった、とも言わない!
曲紹介
アーティストはmajikoさん。歌詞はカンザキイオリさん。
今日の解説が今回のメインではないので、詳細な解説は外部サイトにお任せいます。
結論:インナーチャイルドを癒す歌
タイトルからお分かりの通り、私にとってmajikoさんの「エミリーと15の約束」はインナーチャイルドを癒す歌、“大人の私”から“子供の私”への手紙であると解釈しました。
だからこそ、聞いた時よりも、口に出して歌詞を歌ったときに声を震わせ泣いてしまうのです。
それは幼少期に満たされなかった思いを抱えたまま大人になった人が、幼少期の自分を癒すために、幼少期の自分へ向けた言葉を語りかけてあげるのと同じことだったんです。
アダルトチルドレンの私の心に響いた
私が初めて聞いたのは、車の中でした。Apple Musicが勝手におすすめしてきて流れた曲です。majikoさんのファンというわけではなくこの時初めて存じました。
よく聞きなさい。
私はこれから遠いところに旅行に行くの。
ちゃんとお土産は買ってくるからね。
エミリーと15の約束/majiko/歌詞カンザキイオリ

すでに死んだか、これから死ぬ人からまだ幼いエミリーに向けたメッセージかな。
言い方的に母親っぽい。
それからエミリーに向けて15個の教訓めいた約束を歌い上げます。
最初は、小さなエミリーに語り掛ける約束から始まります。だんだんと、少女→思春期→大人の女性へと成長するエミリーに合わせた語り掛けに聞こえます。
「~しなさい」という口調があらわす強さ、その内容がとても現実的であること。
「~してはいけない」ではなく「~な人間になりなさい」が、あくまで否定ではないこと。
そして最後にはそんな理屈ではなく、ただ感情のままに「会いたい」「愛してる」の繰り返しになるギャップが特徴的です。
初めて聞いたときになぜかエンドレスリピート
運転中に一曲聞き終わって、もう一回、もう一回……何度もリピート再生しながら歌詞をよく聞きました。
何故か泣けるんです。まだ幼い子を残しながら行く母の気丈さと堪えきれない「愛してる」「会いたい」の悲しみや執着に? 幼くして母を亡くしたエミリーに?
私は自分の母を重ねて泣いているわけじゃない。それは確かです。
この謎は、曲と一緒に口ずさんでますます深まりました。

アダルトチルドレンの私が涙した
帰ってからも、「エミリーと15の約束」の歌詞を見ながら何度も聞いて、泣いて、口ずさんで、そしてまた泣きました。
何度聞いて歌ってみようとしても、何度も声を震わせ歌えなくなってしまいました。
ぐっと奥歯を噛みしめて涙をぬぐってるんです。
何故これほどわけもなく涙があふれるのか? 何故感情が揺さぶられるのか?
聞いてるだけじゃなく、自分で口ずさんだときの方が、遥かに泣けるんです。
歌詞は「既にいない母→子」でも
歌詞は一貫して母から娘エミリーへと語りかけます。以下は歌詞全文ではなく、一部省略し一部抜粋です。
1.寝る前はちゃんと歯を磨いて パパにお休みと言いなさい。
2.友達に優しくした後に見返りを求めちゃいけません。
3.身なりはちゃんと整えなさい。洋服にお金をかけなさい。
4.時には知らない振りで常に冷静に歩きなさい。
5.人とつながることを恐れないで。恥はさらしあうものよ。
6.生きたい時に生きて、死にたい時に死になさい。価値はあなたが決めるものよ。
7.学歴に何の意味もないわ。好きな場所で働きなさい。
8.清く正しく愛を学んで。正しさはあなたが決めなさい。
9.全てを手に入れようとせずに時には何か諦めなさい。
10.誰かを傷つける言葉は直接面と向かって言いなさい。
11.涙は見せびらかしてはいけないわ。弱さは噛みしめるものよ。
12.沢山映画を見て、沢山本を読みなさい。日々は永遠ではないから。価値観を取り入れて常識を身につけなさい。
13.大人になったら私を忘れて、あなたの価値観があなたを支えなくちゃいけない。理屈じゃ守れないものがたくさんあるの。
14.いつ何時も笑顔でいなさい。笑顔はあなたを強くする。でも悲しい時、苦しい時、大切な人の前で泣きなさい。
15.恐れる必要などないわ。寂しく思うことはないわ。あなただけの人生を手に入れなさい。
「エミリーと15の約束」/majiko/歌詞カンザキイオリ……より抜粋
始終、命令口調ではあります。毒親を持った人は、命令口調を嫌うことがあります。それがたとえ「あなたのためを思って」の命令であっても、嫌なんです。
私にとってはこの歌のその内容はとても現実的に響きます。現実に悩みやすいこと、というか既に悩んでいることだからでしょうか。
そして私が一番ぐっと意味を感じるのは、サビの部分です。以下も部分的に抜粋しています。
6.生きたい時に生きて、死にたい時に死になさい。
価値はあなたが決めるものよ。選択は無限なの。
信じれるのは自分だけ。でもその全てに責任が持てる人間になりなさい。
12.沢山映画を見て、沢山本を読みなさい。日々は永遠ではないから。
価値観を取り入れて、常識を身につけなさい。そして自分が何者なのか必死に考えなさい。
13.大人になったら私を忘れて、あなたの価値観があなたを支えなくちゃいけない。理屈じゃ守れないものが沢山あるの。
でもあなたが信じるものが、あなたが愛するものが、何よりも大事な真実になるのよ。
14.いつ何時も笑顔でいなさい。笑顔はあなたを強くする。
でも悲しい時、苦しい時、大切な人の前で泣きなさい。
15.恐れる必要などないわ。寂しく思うことはないわ。
あなただけの人生を手に入れなさい。間違いだらけでもいい。信じれるのは自分だけ。
でもその全てに後悔が出来る人間になりなさい。
「エミリーと15の約束」/majiko/歌詞カンザキイオリ……より抜粋
「大人の私→子供の私」への手紙だと気づく

何度口ずさんでも泣いて歌えなくなるんです。そして最近、ふと気が付きました。
これは私が私にかけてあげたかった言葉なんだ。大人になった私から、子供の私へあてた手紙だと思えるんだ。
私は人と関わるのを避けて自分の殻に閉じこもりがちです。
プチ毒母からは「人に頼るな。世間は冷たい。今は味方の振りしてもすぐに裏切る。本心は見せるな。自分しか信じるな」と教わってきました。プチ毒母本人は否定しますが。(それが余計に呆れる)
だからこそ、15個の約束が、言葉にできないほど胸を打たれるんです。
「時には知らない振りも必要よ。人とつながることを恐れないで、恥はさらしあっていい。映画や本を読んで自分だけの価値観を作りなさい、自分自身について考え続けなさい」
「大人になったら母親から耐えられた価値観を捨てて、自分だけの価値観と世界を作らなきゃいけない。それこそが人生で自分を支えるものになるのだから」
「間違いだらけでいい。『信じれるのは自分だけ』それでもいい、だけどそこに責任と後悔を感じれる人間になりなさい」
価値はあなたが決めるものよ。
周りが何と言おうと、自分の価値は自分で決めていい。
自分が自分を否定することほど悲しいことはない。自分だけでも、自分の喜びも悲しみも認めてあげていい。自分の強みや特技も自分で決めていい。誰かが決めるんじゃない。自分で自分の価値を決めていいんだよ。
信じれるのは自分だけ。でもその全てに責任を持てる人間になりなさい
他人を信じないことは否定しない。自分だけしか信じない、それでもいい。でもそれは即ち自分が全責任を負うということになる。誰にも頼らないということは、そういう苦しいことなんだ。
沢山映画を見て、沢山本を読みなさい
作り話を馬鹿にする人もいるけど、その作りごとに価値を見出していい。たくさんの人と関わるだけじゃなく、一人でも世界を広げることはできる。映画を見て本を読んで、自分の知らない世界を知りなさい。そして自分の価値観や常識を疑っていいのよ。
本好きの私はこれだけで認められたと感じました。
価値観を取り入れて常識を身につけなさい
それは母から与えられるものではなく、映画や本を読んで自分で得ていくものなんだよ。そうして母が与えるものではなく、本当の世間で広く常識と言われるものを身につけなさい。
大人になったら私(母)を忘れて
幼いころは母の世界観でいいかもしれない。けれど成長するにつれてその世界から抜け出していい。大人になったら、母のことなんか忘れてもいいから自分を中心に据えなさい。
あなたの価値観があなたを支えなくちゃいけない
母が与えたものではなく、あなたが見つけ出し取り入れた価値観があなたを支えることになる。母から与えられた価値観は決してあなたを支えはしない。あなた自身が見つけ出した価値観こそが、あなたの支えとなり武器になる。
あなたが信じるものが、あなたが愛するものが、何よりも真実になる
あなたを毒するもの、あなたを害するもの、あなたを侵すもの、そんなものに惑わされてはいけない。あなたが信じたもの、あなたが愛するものがあなたにとっての芯となる。
あなただけの人生を手に入れなさい。間違いだらけでもいい。
いつかは母の言いつけから脱却しなさい。今からでもいい。どれだけ悩み苦しんで間違ってもいい。何度でも間違えていい。あなたはあなたの人生を手に入れなさい。
信じれるのは自分だけ。でもその全てに後悔が出来る人間になりなさい。
信じれるのは自分だけでいい。でも、それを悲しめる心を持った人間になりなさい。
責任と後悔を感じることが出来る人間に。他人を信じて、頼っていればもっと楽に生きられる。一人でも平気だという冷たい鋼鉄の心ではなく、そうしていればよかった、と涙することが出来る心をなくさないで。
自分の中の「幼い自分」を癒す

歌は「母から娘エミリーへ」を思わせる歌詞ですし、動画のコメント欄にも「母と重ね合わせた」というコメントが目立ちました。
でも私は、「大人の私から子供の私」へ贈る言葉に聞こえました。
毒親、機能不全家族で育ったアダルトチルドレンは、自分の中にいる傷ついた子供の自分を癒すことが重要です。大人になった自分が、自分の中にいる傷ついた、小さな、愛されなかった自分を、抱きしめてあげたり、一緒に遊んであげることが大切です。
抽象的です。だからこそ、言葉にすることが大きな意味を持っています。
「本当はこうしてほしかったんだよね」「あの時こんな風に思ったんだよね」と自分自身へ向けて言葉を発することが大事です。
でもそれがなかなかできない。できないからこそ、majikoさんの「エミリーと15の約束」は代弁してくれたように感じます。
大人の私から、子供の私へ。
人とつながることも、恥をさらすことも恐れなくていい。
母から植え付けられた価値観がすべてじゃない。忘れていい。
自分だけの人生を生きなさい。
人を信じて、人に頼っていい。
自分一人で生きて行こうと力んで、その全てに責任をとれますか?
もっと周りに頼って人を信じればよかったと、後悔できていますか?