前回の続きです。引き続き『気づけない毒親』(高橋リエ著)の中から学び取ったことをメモにして残していきます。
前回の記事はこちらです。

メモ4:子育ての変化がアダルトチルドレンの増加に?
現代の日本に毒親が増加、親子関係の問題が多くなっていることについて言及されていました。
本書では、3歳までに親から安心感を与えられることが大事だとされています。3歳までにものすごい勢いで神経が発達するからです。
本書で指摘されていることをピックアップします。
- 「大人しいから大丈夫」と幼くても一人で留守番させられる。
- 子供の前で夫婦喧嘩。
- 母親が家出。
- 母親がいつもイライラしたり不機嫌で怖い顔。
- 母親がしょっちゅう寝込む。
- 核家族化により子供の味方になる大人がいない。
- 子供の逃げ場がない。
- 子供は一人で我慢する。
- 大人にとって都合の「いい子」になり、子供は見捨てられる不安と恐怖を抱えている。
- 恐怖のエネルギーが滞留する。
- 後年、不安の強いアダルトチルドレンとなる。
- 子供の方が共感能力や意識レベルが高い。
- 子供の方が物事をよく理解している。
- 子供は親の本心を見通しているうえに心優しいので家族の不仲に傷つく。
- 本来3歳までに親が最優先ですべきことは「安心感を与えること」
- 親に安心させてもらい、尊重され、大事にされることで自己肯定感を得る。
- 世の中はいいところだとポジティブになる。
- 4歳以降、自分がされてきたように他人を尊重し、喜んで人を助ける。
- 自分がやって貰って嬉しかったことを人にもやってあげようという、喜びが動機で行動する。自分も周りもハッピーになる。
さて、私の半生を振り返ると
0~3歳の記憶はないが、その頃の家庭環境は……母親の兄が入院、亡くなる、警察の事情聴取、父親の家で、大人の喧嘩、離婚、別居……。
その後の子供時代も母親不在、いても不機嫌、疲れた顔。
祖母が同居していたけど嫌われてたし嫌いだった。祖母が子守りしてくれた覚えもない。それどころか母と祖母の喧嘩も覚えてる。
親は否定するけど、親の姿からは「世間は冷たい」「他人を信用するな」「お金しか信用できない」と教わってきた。
メモ5:回避型愛着障害を知る
親子関係の問題は愛着障害とも結びつけられることがあります。
愛着障害というと、「親しい人に滅茶苦茶な態度をとる」という実例を見たことがあります。なのでそういうイメージでしたが、本書で指摘されたことが当てはまっていて、そこで初めて「私は回避型愛着障害と言えるのか……」と気づきました。また一つ自分を知ることが出来ましたね。偉い。(実はこの知識を得たことで別の本も買いました)
- 乳幼児期から親に対する安心感がなかった。
- 不安と恐怖で緊張していた。
- 親に甘えられなかった。
- 乳幼児期から手のかからない「いい子」だった。
- 乳幼児の方が親の問題を見抜いて気持ちがわかる。故に不安と緊張を感じる。
- 育ててもらうため親に気に入られようとする。
- 迷惑をかけまいとする。
- 不安と緊張でびくびくしているが傍目には大人しいから放置される。
- 心理的に孤立したまま成人して、人付き合いが出来ているように見えて「誰にも頼らない」「誰にも心を開かない」状態になる。
- 人といても安心できない。
- 疲れる。
- 一人のほうが落ち着く。
- 親に対して問題を感じないけど愛着もない。
私は今、はっきりとプチ毒親・プチ機能不全家族と気づきましたが、それまでは親に問題があるんじゃなく「これだけ親に世話してもらってるのに、世間一般みたいに自立できない、親を安心させられない、自分は無能で欠陥のある人間だ」と思っていました。こうやって書くと地獄ですね。
また子供時代の話を聞かされていた時は
姉は体が弱くて、何度も病院に駆け込んだり救急車も呼んだ。
なかなか寝付かずに一晩中散歩したりドライブしたり。
あまり食べなかったから食べさせるのも苦労した。本人はラムネとか栄養のないお菓子ばっかり好きで。
え? たまお?
妹のあんたは手がかからなかったから、ほとんど覚えてないわ~。ほっといても寝てたし、何でも食べてたし。
写真も長女の方が多くて妹なんて忘れがちよね~。どこの家庭もそんなもんだって。
等とのたまいつつ「姉よりあんたの方を可愛がってやった、姉の方が可哀そうだ」とかいうから気持ち悪いこと極まりないです。
二人目なんて覚えてない……そんなもんなんでしょうか?
SNSで毒親界隈の話を見ていると、必ずしも長子が可愛がられるケースだけじゃなく、逆のパターンもあるようですね……。
なお姉妹仲は良くないです。20代半ばまでは姉妹でディズニーにはまってましたが、一緒に働くようになってからは私が姉のことを嫌うようになりました。姉についてはこちらで詳しく。


メモ6:私は運には恵まれず、経済的にはやや恵まれている
本書では、核家族化によって親以外の大人がいないことや、時代の変遷についても触れられていました。一部をピックアップします。
- 昔は、生みの親も未熟から授乳して可愛がるだけで、あとは他の大人がやってくれた。
- 今は、生みの親だけで全部やる。
- 親がどんな親であっても他の大人のフォローがなく、親が絶対的な存在になった。
- 親以外の大人の価値観を得る機会がなくなった。
- 運が良ければ、子供時代に、学校や課外活動で大人から良い影響を受けることが出来る。親とは違う人生を見つけることが出来る。
- 運に恵まれなかった人は、親を絶対視して、自分を見失い、操り人形になる。
- 一見幸せそうであっても、後年生きづらさが増し、鬱になることもある。
- 経済力を持った親は経済援助をするが、それも一つの「支配のツール」である。
- 子供が逆らいにくくなる。
- 親の援助を宛てにして自立が阻まれる。
- 子供は「親に感謝する、世話になっている」と思いながらも親の支配下にあり、次第に不調を感じて来る。
親が絶対的存在であり、子供時代に他の大人の影響を受けなかった、経済援助で世話になりながら自立できない、そしてメンタルも崩すダメ人間……私か?
メモ7:ひきこもり
私は
- 幼稚園から行き渋り。
- 小学校1~2年でいじめられ不登校(だったらしいけど覚えてない)。
- 3年で私立一貫校に転校。
- 小学校は行けば楽しいけど基本的に朝は起きれない。
- 中学・高校はすごく行きたくない、不登校気味の時期もある。
という、ある意味、黄金ルート通りの思春期を過ごしてきました。それもプチ毒親曰く「あんたが人格異常者、怠け者」でしかないようですが。
本書によると、引きこもりというのは、神経が疲弊している状態だとされています。
ひきこもりは、ある日突然起こるものではなく幼い頃からじわじわと「生きるエネルギー」が低下していることから始まっているそうです。私は幼稚園のころからエネルギーが欠乏していたのですね。なお、「生きるエネルギー」とは喜び・安心感・やりたいことから生まれてくるものとされています。
そして社会のストレスに耐えられず引きこもるのだそうです。

SNSでは「学校よりも家が安全という家庭が羨ましい」という発言も度々見かけます。
私も前職では虐待児に接してきたので、家の方が地獄だったという家庭が身近にもあると知っています。
確かに私はまだ、学校よりも家にいるほうが好きでした。
でもそれは「お母さんと一緒にいたい!」ではなく学校が怖いからです。家にいても誰もいないから、そのほうが気楽でした。
親が頑張りすぎているから代わりに子供が休んでいる
本書では「親が頑張りすぎているため、子供が代わりに休んでいる」としています。
これは、2対6対2の法則に基づいて語られています。集団の中の2割は優秀・猛烈、6割は普通、2割は遊ぶ、ということです。こちらでより詳細に語られています。
ひきこもりの親は往々にして「ねばならない」「するべき」など強迫観念で頑張りすぎて感情麻痺や神経疲労している親が多いようです。となるとその親は猛烈な2割になります。
そしてその頑張りすぎている親とバランスをとるために子供が反対の2割……遊び・休息を担うことになる、と。
だから子供が不登校や引きこもりになったら、親が頑張るのをやめて一緒に休むのがいいとされています。
親は親で、子供に自分の問題を重ね合わせています。親が子供の欲求を満たされないまま成長した、アダルトチルドレンなのです。
メモ8:神経疲労から、不登校、ひきこもり、鬱…
神経疲労は理解されにくい。
これは精神疾患の当事者や生きづらさを抱えた当事者には、よくわかるのではないでしょうか。
目に見えないから周りに理解されない。
というか本人が一番わからない。
だって本人は頑張ってきたし、頑張ってきたのに皆が出来ることが出来ない、普通になりたかったのに、なれない。
本書では、神経疲労は幼児期からの蓄積だとされています。社会生活の中できっかけとなる出来事はあっても、本当の原因はもっと前からあったということです。
あらゆる年代で「動けなくなった」方たちのお話をうかがってきました。
その経験からわかってきたのは、動けなくなる人たちは、幼少期から、ずっと我慢してきたということ。周囲の価値観、「ねばならない」に従ってきて、自分の本心や、本当にやりたいことを抑圧してきたということです。
(中略)
「動けなくなる」人たちは、幼いころからの神経疲労の蓄積で、「もうこれ以上のストレスは、耐えられない」という限界に達しています。
『気づけない毒親』高橋リエ著
「自分がわからない」というのは本当に不安なものです。
自分は何が好きなんだっけ? 何をしたくて、何をしたくないんだっけ?
常に「ねばならない」「するべき」「するしかない」「私しかいない」という原理で動いていた私にとって、それがわかりません。
「好きな色は何?」それすらわからない。
「どんな服を着るの?」わからない。
親の好みに従ってきただけ。
「何がしたい?」わからない。何がしたいのかもわからない。
「何をしたくない?」働きたくない。親や姉と関わりたくない。誰にも会いたくない。でも現実にはそんなの無理ってわかってる。
まとめ:対処法やアドバイスは次回へ
毒親とはどのようなタイプがあるか、どういう思考回路か、どうして毒親になったのか、なぜ今の日本は毒親に悩む人が多いのか?
が、私はまずプチ毒親への反発が強いから「なぜ毒親になったのか」というメタ認知の領域には至れません。
本書ではなぜ毒親になったのか、毒親にはどのように対処すればよいか、どのように付き合えばいいか、もアドバイスがあります。
その部分は次の記事にまとめようと思います。ありがとうございました。