毒親育ちだし、機能不全家族育ちだし、アダルトチルドレンだし……人生詰んだわ。皆が出来ることができない、何も能力がない、どんな仕事もできないんだ。私なんて人の役にも立てないんだ。
確かにサバイバーは背負ったものが大きい。だけどサバイブ能力もあるし、その能力こそ他人を、そして自分自身をも救うことになりますよ。
こんにちは、たまおです。プチ毒親育ち・プチ機能不全家族育ち・プチアダルトチルドレンです。一か月ほどWebライターの仕事をしていたのですが、その中でクライアント様からの意見や参考書籍で学んだことがあります。それが、
ということです。
クライアント様とのやり取りはご紹介できませんが、参考書籍では、「同じ傷や問題を抱えているからこそ相手が求めているものがわかる。問題を克服しようとする人は他人を支援する力も高い」「他人を癒す過程で自分の傷も癒している」と記載されています。
SNSでも「毒親・機能不全家族・アダルトチルドレン当事者のカウンセラー」「元不登校児のカウンセラー」という方が多くいらっしゃいます。私はそういう方々の発信が好きです。
毒親育ち・機能不全家族育ち・アダルトチルドレン・愛着障害などの「克服するには?」という発信は多くあります。しかしここではもう一歩踏み込んで、苦しんだからこそ得られた能力を活かす道もあるのだという、私が得た知識を共有します。長くなるため記事を分割します。
今回は、毒親育ち・アダルトチルドレン・愛着障害のタイプごとに見ていきます。
参考書籍はこちらです。
毒親育ち・愛着障害・アダルトチルドレンのプラスの面

毒親育ち・(広義の)愛着障害・アダルトチルドレンと言っても人それぞれです。特に愛着障害には、用いる心理分析によって名称は異なりますが、「回避型」「不安型」「恐れ・回避型」「未解決型」で分けられています。どのように困っているか、どのように生きづらいか、どのような能力で生き延びてきたのかもタイプごとに違います。
それは子どもが、過酷な生育環境で生き延びるために得た能力であり、その経緯を考えると好ましくないとも思えます。しかし、それ故にその部分が他人より秀でているのは確かです。
それでは毒親育ち・アダルトチルドレン・愛着障害の中でも、どの能力で生き延びてきたのかをタイプごとにご紹介します。
アダルトチルドレン:顔色を窺うタイプ

毒親育ち・機能不全家族育ちのアダルトチルドレンによく見られる特徴です。大人の顔色を窺っていないと自分の身の安全が守られなかった、親の関心を引けなかった、育ててもらえなかったからです。
危険から逃れるために大人しくしている、愛情を向けてほしいから困らせる、励ましたいからピエロを演じる……そのためにも、まずは自分の置かれた状況や、大人たちの顔色を窺わないと適応できませんでした。こうした子たちは、成長しても常に周囲の顔色を窺っています。それが身に沁みついているのです。
洞察力・観察眼
経緯から考えれば「身を守るため、生存のため」に身につけた能力ですが、「相手や周囲の物事をよく観察する能力」でもあると言えます。
- 相手は何を感じているんだろう?
- 今、何が起きているのだろう?
- 何故こうなったのだろう?
- 今までと何が違うのだろう?
- どうしたらいいだろう?
- 何をしたらどのような変化が起きるだろう?
回避型愛着スタイル:感情に左右されないタイプ

人とのつながりを嫌う愛着軽視、回避型愛着スタイルとも言われています。かつて保護者から愛されるはずだったのに愛されなかった、だから「愛情を求めない」ことを選んだ人です。見るからに人と距離を置く一匹狼タイプもいれば、一見するとコミュニケーション能力が高いが本心には近づけさせないタイプもいます。
どちらにしても本当の意味での人とのつながりを持ちたがりません。他人に自己開示しないし、他人との感情的なつながりも面倒でしかありません。それがかえって同僚との軋轢を生む原因にもなりますが、自分の仕事が達成されることの方が重要なので、仲間とワイワイやるよりも黙々と仕事をこなす職人気質でもあります。
職人気質・冷静な判断力
そうしたタイプは、感情に左右されないとも言えます。「かわいそう」「悲しい」「辛い」「好かれたい」「感謝されたい」という感情に惑わされることがないので、冷静さや論理的な判断が求められる場面に強いです。
不安型愛着スタイル:人に尽くすタイプ

不安型愛着スタイルの特徴でもあります。見捨てられ不安が強く、相手が求めていないところにまで世話を焼きたがります。周囲の人からは「あの人がいると助かる」と思われますが、本人は必死に期待に応えようとしているのです。がっかりさせたくない、見捨てられたくない、失望されたくない……そのような一心で、必要以上に気をまわして甲斐甲斐しく世話を焼いてしまいます。
献身・世話
それだけ聞くと、ありがたいお助けマンのように聞こえますが、やはり生きづらいのです。不安型愛着スタイルの人は、身近な人に対しては「自分はこれだけやってるのにどうして答えてくれないの」「なんで私を蔑ろにするの」と不満を爆発させ、信頼関係がこじれることも。他人に依存する傾向もあり、簡単に恋愛モードに入って人間関係のトラブルが発生することもあります。
それでもやはり、献身的な世話をする、相手が言葉に出していないところまで読み取って先回りが出来るというのは他人にはない能力です。
不安型愛着スタイル:人の感情に寄り添うタイプ

愛着や感情を軽視する回避型よりも、不安型愛着スタイルの人に見られます。不安型愛着スタイルの人は共感性が「高すぎる」傾向があるとされます。それ故に上記のような痒いところにも手が届くような献身につながっています。
顔色を窺う能力は、あくまで観察する能力です。「あの人が怒っている」「この状況ではあの人はこう感じるのではないか」と観察することが得意ですが、「辛いだろうな、私が何とかしてあげたい」というところまでは発展しません。
共感性の高さは観察や問題解決とも異なり、「そんなことがあったら辛いよね」と寄り添う能力です。それだけでは何も問題解決しないように見えますが、傷つき疲れた人にとってはそうした癒しこそが必要なのです。
高い共感性
そうした人たちにとって、このタイプの共感性の高さは、口うるさく言わないという安心感を与えます。ただ聞いてもらって寄り添ってもらう、そして癒されると、人は自分で立ち上がる能力を取り戻します。
アダルトチルドレン・愛着障害:反骨精神が強いタイプ

毒親育ちの本にはしばしば登場するタイプです。「あんな親に支配されてたまるか! 見返してやる!」と激しい怒りがエネルギーになる人です。その怒りが反社会的行為につながるとアウトですが、芸術作品や社会貢献、仕事への意欲につながり昇華されるなら、その怒りのエネルギーもプラスに働いてます。
きつい状況でも、「なにくそ!」の精神で立ち向かい問題を乗り換える力は、誰もが持っているわけではありません。
逆境をエネルギーにする逞しさ・偉業を成し遂げる可能性
そして彼らの中には、誇大自己が強い人がいます。誇大自己とは自己愛の一つであり、「自分は偉大な人間だ」という万能なイメージ像でもあります。本来はその気持ちと挫折を繰り返すことで身の丈に合った自己イメージに収まりますが、愛着障害の中にはこの自己イメージが偉大なままの人もいます。
これは現実社会に適応できない悲劇ももたらしますが、多くの人が挑戦しようとしない夢や目標を目指す、身の丈に合わない願望を成し遂げようとする……つまり本当に偉業を成し遂げる可能性も秘めています。偉大な革命家やリーダー、政治家、芸術家や作家に見られるタイプです。
次回予告:当事者が支援者に回る
今回はタイプごとの紹介で終わりにします。次回は、毒親育ち・機能不全家族育ち・アダルトチルドレン・愛着障害の当事者が支援者に回るとどういうことが起きるか? について参考図書からご紹介します。