プチ生きづらさ

毒親育ち・アダルトチルドレン・愛着障害の当事者は支援者に向いてる?

こんにちは、たまおです。前回の記事では、毒親育ち・機能不全家族育ち・アダルトチルドレン・愛着障害の人が、生きるために身につけた能力を見てきました。そこでも述べたように、Webライター時のクライアント様や参考書籍から以下のことがわかりました。

  • 家族関係・親子関係で悩み傷ついた人ほど他者の支援への熱意とスキルが高い。
  • 他人を救うことで自分の傷を癒すことにもなる。

今回はよりこのテーマに近づいてご紹介します。なお、当事者だからと言って誰もかれもが支援者に適している、というわけではありません。当事者のなかでも支援に回るという人は、自分の問題や傷を克服しようとしている人です。参考図書は以下の通り、前回の記事でご紹介したものと同じです。

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当事者でも支援者になれるのは「関係の質」が重要だから

いきなり見出しのことを結論付けるとこのような反論が予想されます。

当事者

毒親育ちは苦しんだ分だけ強いっていうんでしょ? んなわけあるかい!

その通りです。私は、「苦しんだ分だけ強くなる」というつもりはありません。

親子関係、家族関係の問題というのは、私たちの人格の根幹にかかわる問題……ハードモードでのスタートなんです。通常のパラメーターでのスタートではなく、最初からデバフ(弱体化)を受けてる、状態異常を受けてる、所持アイテムに制限付きのスタートです。

だから、問題や傷を軽くすることが先決です。しかし中には、次の段階として支援に回りたいという人がいるのも事実です。ハードモードでもクリアしたから攻略動画を作る、友達にアドバイスする、といったタイプですね。

そしてハードモードでクリアした人の作る攻略動画が有益なように……当事者が支援者に回ると、通常の人にはない支援力が発揮されます。支援者に必要な要素を、当事者は兼ね備えていることがあります。

そもそも、支援者に必要な要素とは? それはただ一つ、本人との関係性です。

関係性がなぜ重要なのか? 関係性とはどのようなもののことを言うのか? そのことについて参考図書からの引用を中心に紹介します。

支援に必要なのは専門的治療よりも関係性の質

精神疾患や症状の改善に必要なのは、薬物治療や心理療法よりも関係の質だとされます。ただし、岡田尊司氏は必ずしも薬物治療や医学的アプローチを否定しているわけではなく、あくまで愛着の観点での話です。

効果を左右するのは、どの治療を選択したかではなく、全く別の要素であることが分かった。その要素とは、治療者と患者との関係の質であった。すなわち、患者の気持ちを正確に汲みとり、どんな時も患者を肯定的に見て、居心地の良い関係を保つとき、うつが改善し良好な状態が維持されたのだ。こうした効果は、治療法に無関係であったばかりか、患者の特性や症状の重さにも関係なく認められたのである。

『回避性愛着障害 絆が希薄な人たち』電子書籍版発行:2014年1月10日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社

ではこの治療者と患者の関係の質とは、何か? それが「安全基地」という考え方です。治療者は、患者にとっての安全基地であることが重要なのです。

安全基地が確保されると、愛着も安定化し始める。すると、放っておいても、問題になっていた症状や行動は減っていく。力ずくで動かそうとしてもビクともしなかったものが、自然に動き始め、肝心な方向に向かい出す。

『回避性愛着障害 絆が希薄な人たち』電子書籍版発行:2014年1月10日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社

安全基地とは、心理学者エインスワースが提唱した考え方です。本人にとって、安全が保障され、安心できる場所であり、本人の自主性を奪わない存在のことです。危険から守りながらも自立を妨げない、不安を感じた時には優しく包み込む、そのような存在です。

つまり精神症状の治療において、本人を肯定的に受け止める安全基地の存在が必要です。

安全基地の代表例

パートナー、父母、保護者、近所の大人、先生、上司、先輩、主治医、カウンセラー、所属するコミュニティのリーダー、日記、ブログ

次に安全基地となるための条件をご紹介します。

安全基地となる5つの条件

優れた支援者の条件とは「どんな時も相手を肯定的に見て居心地の良い関係を保つ=相手にとっての安全基地となる」ことです。安全基地の条件というのが、以下の5つです。

  1. 安全を保障する。一緒にいても傷つけられないということ。
  2. 感受性・共感性。何を感じ、何を求めているのかを感じとる感受性・共感性のこと。
  3. 応答性。相手が求めているときに応じること。
  4. 安定性。相手の求めに応じたり応じなかったりという気まぐれではなく、一貫性があること。
  5. 何でも話せる関係であること。上記4つが満たされて初めて達成できる。

安全基地とは、怠け者の楽園ではありません。あくまで主体性は「本人」にあります。本人が弱っているときに甘えを許す、癒すということです。

参考図書はこちら。

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傷を乗り越えようとする人が持つ共感力・支援力

なぜ当事者が優れた支援者となり得るのか? それは当事者だからこそ持つ力があるからです。岡田尊司氏は「愛着障害を乗り越えた存在のもつ力」と表現しています。氏は、心理学者エリクソンや、『風と共に去りぬ』を書いた作家マーガレット・ミッチェルを例に挙げています。

心理学者エリクソンと妻ジョアン

心理学者である夫エリクソンと妻ジョアンの夫婦の事例です。

エリクソンは実父が不在、義父とは不安定な関係であり、回避型愛着スタイルだったとされています。

彼の妻ジョアンは、母親がうつ病のため祖母に育てられたことをきっかけに、両親との仲が不安定で、反抗的に育ちました。

両者ともが不安定型愛着スタイルの持ち主です。一般的にはうまくいかないとされる組み合わせですが、時に補い合うことで安定した関係が生まれます。この夫妻もそうでした。

結婚してからも、エリクは家事には無関心で、ジョアンにまかせっきりだったが、ジョアンは、エリクに比べれば、はるかに自立した女性だった。彼女は、エリクの人生にしっかりとした秩序と骨組みを与え、独自の道を歩んでいけるように支えたのである。家庭では「邪魔者」「問題児」扱いしかされなかった二人だが、理想的ともいえる家庭を築くことになる。

『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』電子書籍発行:2011年10月28日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社

次に、エリクソンの「奇跡」とされる治療についても紹介します。この治療が行われた当時、エリクソンは語学が不自由な外国において、深刻な境界性パーソナリティ障害や依存性パーソナリティ障害とされる女性の治療にあたりました。女性はどのような名医にかかっても改善しませんでした。

今でこそ教科書に名前が載るエリクソンですが、当時は厳しい状況にありました。診察室はみすぼらしく、隣からは子どもの泣き声がするし、診察途中に子守りをしに行くという有様です。当時一般的だった診察スタイルは踏襲せず、診察後には家族のディナーに招待もする……当時のタブーを侵してばかりの診察でした。

(略)治療という名目で、エリクソンは、患者から英会話のレッスンを受けていたと言ってもいいくらいだろう。

 ところが、驚くべきことに、マーサは、自己不全感が薄らぎ、前向きな自信が湧いてくるのを感じるようになった。やがて、すっかり良くなってしまったのだ。

(略)

エリクソンは、語学力に大きな困難があってさえも、マーサが直面している困難を、直感的に感じ取ることができたに違いない。なぜ、それが可能だったのかと言えば、彼も同じ問題で悩み続け、それを克服してきたからだ。(略)エリクソンのこれまでの人生は、愛着障害を克服するための道のりであったともいえる。

『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』電子書籍発行:2011年10月28日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社
当事者

そうはいってもエリクソンって有名な人じゃん。昔から賢くて専門的な研究してたから、できたことでしょ。

と思われるでしょう。エリクソンも決して順風満帆な生い立ちではありませんでしたが……では次に、専門家ではない夫婦についてみていきましょう。

作家マーガレット・ミッチェルと新聞記者ジョン・ミッチェル

『風と共に去りぬ』の作家マーガレット・ミッチェルは不安定型愛着スタイルの持ち主だったとされます。同様に不安定型愛着スタイルの男性と結婚し喧嘩別れしていますが、後に再婚したのが新聞記者のジョンでした。

ジョンは、父親を早くに亡くし、苦学して新聞記者になった人物です。母親からの愛情はあったと言えども、父親の喪失という経験から、愛着の傷がなかったわけではありません。それでも、自分自身その傷を乗り越えたからこそ安定型愛着スタイルを獲得したと言えます。

ジョンは妻マーガレットの愛着不安を受け止め、支えました。その結果、マーガレットの生活も安定し、『風と共に去りぬ』という大作を生み出し大成功を得ました。成功した後も、派手な生活はなりを潜め、家庭生活を大切にしています。

傷や困難を抱えるからこそ支援に役立つ

岡田尊司氏は上記の例を「同じ傷や困難を抱えるからこそ支援に役立った」と解説し、同時に「不安定すぎると共倒れになる」とも注意を促しています。

エリクソン自身が愛着障害を抱え、それを克服しようとして、苦悩しながら模索してきたことが、同じような困難を抱えるものの支援に役立ったのである。

 実際、不安定型の人を支えようと頑張るのは、しばしば同じ不安定型の人であることが多い。その気持ちや苦しさがわかるからだ。

 しかしどちらもが不安定すぎると、支える方も巻き込まれて、共倒れということになりかねない。結局、相手をうまく支え、回復へとつながっていくためには、支える方が、不安定型愛着をある程度克服していることが必要なのである。

『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』電子書籍発行:2011年10月28日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社

書籍内では、偉大な指導者(大統領、大企業の社長など)にも愛着障害を克服した人が多いと述べています。

そしてこの傷を克服しようとする過程が大事であり、克服を完了していなくてもいいといいます。

克服の途上にあるがゆえに、いっそう救う力をもつということもあるのではないか。もっといえば、その人自身、自らの傷を癒すためにも、人を癒すことが必要なのだ。その過程を通じて、癒す側も癒される側も、愛着障害に打ち克っていけるのだ。なぜなら愛着障害とは、人が人を労わり、世話をし、愛情をかけることにおける躓きだからだ。

『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』電子書籍発行:2011年10月28日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社

これまで本当の安全基地というものをあまり体験したことのなかった人が、安全基地とはどういう存在か、それをもって体験することから始まる。そのためには、必ずしも安定型の人である必要はないが、愛着の課題をある程度克服した人に出会う必要がある。もともと愛着の課題を抱えていて、それを自身で克服した人は、支え手として優れた力を持っていることが多い

『不安型愛着スタイル 他人の顔色に支配される人々』201頁、発行:2022年11月30日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社(太字強調はブログ筆者によるもの)

サバイバーだからできること

社会的役割や仕事を手に入れ、自立を成し遂げていく中で、愛着に課題を持ち、それに取り組んできた人は、自分がその過程で獲得した安全基地となるスキルや才能を、仕事においても活かすことがしばしばだ。

 不安定な境遇を生き抜き、傷ついた愛着を克服してきたサバイバーだからこそ、できることがある。そうした領域や分野で活躍し、同じような苦しみを抱えている人たちを支える側に回ることも多い。

『不安型愛着スタイル 他人の顔色に支配される人々』216頁、発行:2022年11月30日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社(太字強調はブログ筆者によるもの)

だから、当事者が必ずしも自らの問題や傷を完全に克服していなくても、支援者になることは可能です。当事者にとっても、「完璧に立ち直りました」という人よりも「私もまだまだ道半ばです」という人の方が身近に感じますよね。

愛着や心の傷は他者を世話することで癒される

前項の引用にあるように、心の傷を癒すには他者の世話をすることも有効です。それは、前項で引用したように、毒親育ちやアダルトチルドレンの傷、愛着の傷というのは、他者との関係性における傷、愛情についての傷だからです。参考図書では、複数の本にわたって事例を提示されています。ここで全文引用するには長くなるので、まとめて紹介します。

  1. 自分が治療者となって患者を癒す。(上記のエリクソンタイプ)
  2. パートナーを支える。(上記のジョン・ミッチェルタイプ)
  3. 自分が自分の親になる。自分が、「自分の中の親」と相談する。
  4. 他人を育てる。自分が「理想の親」となって若い人を育てる。
  5. 小さな生物の命に対して責任を持って世話をする。
  6. ボランティアに参加する。

「自分が治療者となって患者を癒す」「パートナーを支える」において重要なのは、自分が主人公になろうとしないことです。相手が主人公であり、自分はサポートする側である……という意識を持っていないと、自己主張のぶつかり合いになります。

「自分が自分の親になる」はアダルトチルドレンの克服方法で提案されることが多いですよね。自分を育てなおす、とも言われます。

「他人を育てる。自分が『理想の親』となって若い人を育てる」について、参考図書内では面白い例がありました。作家、夏目漱石です。彼は幼少期から愛着の傷を抱え続け、成人後も家庭的な父親ではありませんでした。ですが作家としての門下生は多く、慕われていました。

「小さな生物の命に対して責任を持って世話をする」は、小動物の世話をすることや、自分の子どもを持つことです。ただし命の責任を持つということなので、途中で投げ出すことはできません。「ペットを飼えば癒されるんだ」と安易に考えて実行しないでください。私が保護猫の世話やボランティアを続けているのも、ここに関係するのかもしれません。

「ボランティアに参加する」ということも、高齢者や障害者を支えることで、愛着システムが活性化されます。

ただし回避型愛着スタイルの人は注意も必要!

回避型愛着スタイルの人は、基本的には、誰かや何かの世話をする、責任を持つ、関わる、ということが苦手です。だからこそこれらの行動は苦痛を感じやすく、安易に手を付けていいことではありません。私は犬猫の世話は好きですが、人間の世話は苦手です。

当事者が支援者になるためのスキルアップもあり

私はここで挙げた参考図書を読むことで、当事者は決してハードモードで負かされるだけの存在ではないと感じました。苦しんでいるからこそ、相手から感じ取れる「何か」があります。これは日々の仕事で実感していたことでもあります。

私の本業は(休職していますが)障害者の就労支援です。(人間の相手が苦手なのにね)私が、上司対利用者の面談や、会話に立ち会うときに違和感を覚えることがあります。

  • なぜか説教臭く聞こえる。
  • たぶん求めているのはそんな言葉じゃないと思う。
  • 本人も、言われなくても、頭ではわかってると思う。
  • 本人の気持ちを否定することを言わなくてもいいのでは?

などです。上司は私よりもずっと長いこと障害者支援の仕事をしているし、利用者からも信頼されています。だけど、利用者の中でも一歩が踏み出せない人の気持ちを、ありのままに受け止めてない、と感じることがあります。

支援者になるためのスキルアップに使える講座

もしあなたが当事者で、誰かの役に立ちたい、自分の経験を誰かの役に立てたいと考えているなら、支援するための道はあります。コミュニケーションスキルを学ぶことは、相手だけではなく自分を見つめなおすこともできます。

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また、これまで見てきたように当事者は、親子関係や家庭の問題を克服しようとしているからこそ、相手を癒す力を持っています。相手が求めるものを察し、寄り添い、安心感を与えます。

SNSでも、当事者のカウンセラーという方の発信は多いですよね。心理カウンセラーは他人を癒しながら、その過程を通じて自分を癒すことにもつながります。これまでみてきたように、当事者というのは苦しみを抱えているからこそ相手の抱く苦しさも敏感に察知し、何を求めているかを直感的に探り当てることもできます。またその目的ではなくても、勉強しスキルを身につけることは、自分を客観視し、人生を生きやすくする杖の一つになるでしょう。

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実際に毒親育ち・愛着障害の子が支援者に回ろうとすることは多い

ここからは実例を、私の経験や書籍内からご紹介します。身近な例においては、個人情報が特定されないようにフェイクも入っていますがご了承ください。

支援施設で育ったAさん:保育士

  • 母子支援施設で育ったAさん。
  • Aさんは実質、母子支援施設の大人に世話をされていた。
  • Aさんの親は障害があり、親に対して支援体制があるにもかかわらず、Aさんはヤングケアラーでもあった。
  • Aさんの親は自傷行為・異性関係でトラブルになりがち。
  • 母子視線施設を退去した後、Aさんが未成年でも家において夜更かしをする、家に異性を連れ込むなどする。

このような環境で育ったAさんは、子どものころから身近でもあった「支援施設で働く人」を夢に持っていました。高校生の時には「保育士」に夢を定め、家庭環境、経済面で苦労しながらもアルバイトをし、夢を叶え、一人暮らしをしました。

Aさんもまた普通の家庭とは言えない環境で育ち、苦労した経験も多い人です。そんなAさんは「自分と同じような子どもたちを助けたい」と考えていたのです。

パートナーを亡くしたBさん:精神障害者の支援

  • パートナーを自死で亡くす。
  • 子どもたちを抱えたシングルとなり、それまで無縁だった社会福祉の道を目指す。
  • 公務員として働きながら資格の勉強をし、精神障害者の支援を仕事とする。

Bさんはパートナーが精神障害で自死をしてから以後は、精神障害者の支援を続けてきました。詳しく聞いたことはありませんが、それまでは全く福祉とは関係のない仕事だったそうです。

子どもを育てるためにより収入アップが必要だったとはいえ、パートナーを精神障害で亡くしたことをきっかけに、障害福祉の資格を取り支援施設で働くことを選んだのです。多大なショックがあったと思われますが、その経験から勉強に励み他者への支援に回ったのは、簡単には言葉にできない凄みを感じます。

片親を亡くしたCさん:教師

  • 思春期に片親を自死で亡くした。
  • 年下の妹弟と格差を感じていた。
  • 親を亡くした当時のことがトラウマとなり、交際相手にも「重い」と言われる。
  • 共感能力、相手に寄り添う能力が高い。

Cさんは他人の愚痴に対して、相手が求めているような言葉を察し、感情に共感し、寄り添うことが得意です。Cさんが選んだ「教師」という仕事は、ただ知識があればいいというだけではありません。「先生」は生徒にとって親に次いで身近な存在です。生徒たちはまだ成長途中のため不安定な部分もあります。そうした面に、包容力をもって接することができるCさんは、生徒からも慕われています。

次に紹介する事例も、子どもを教える仕事を選んだ人です。

気を使いすぎる朱美さん(仮名):子どもに接する仕事

こちらは書籍からの紹介です。書籍内では、心理学者、哲学者、作家、大統領、誰もが知る企業の社長などの実例も紹介されていますが、あえて一般人の事例を紹介します。書籍内では「朱美さん(仮名)」で紹介されていますので、ここでもそれに倣います。

  • 気が利いて、責任感が高く、仕事も丁寧。しかし仕事が長続きしない。
  • 学歴は高く、知能検査でも高いし数を出すが、ミスや早とちりが多い。
  • 愛着不安が高く、相手の意図を深読みしすぎ、気遣いが空回りする。
  • 幼少期に離婚、父親と継母に育てられる。異母弟が生まれたことで、ますます、継母に気に入られようと無理をするようになる。
  • 大学受験の第一志望に落ちたことをきっかけに、自信を失う。

転機は、朱美さんが子どもに教える仕事をするようになったことだった。もともと能力が高く、サービス精神が旺盛で、相手の気持ちを読み取るのが得意な朱美さんは、子どもがどこで躓いているのかを察知し、わかりやすく教えることに長けていた。子どもの成績が上がると評判になり、会社から独立の話をもらって、自分の教室を開くまでになった。かつての自信を取り戻し、とても生き生きとしている。子どもに接するときは、ずっと自然体でいられるという。

『不安型愛着スタイル 他人の顔色に支配される人々』117~118頁、発行:2022年11月30日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社(太字強調はブログ筆者によるもの)

不安型愛着スタイルの潤子さん(仮名):グループホームの世話人

こちらも書籍からの紹介です。前項と同様に書籍内で用いられている「潤子さん(仮名)」を使用します。

  • 華やかなキャリアウーマン。
  • 自殺未遂を複数回。その度に両親や彼氏は潤子さんを責める。
  • 家に居場所がなく、小さいころから母親に認めてもらおうと頑張るタイプだった。
  • 妹との格差を感じていた。
  • 付き合う男性には尽くすが、いわゆる重い女認定されていた。
  • 同棲する彼氏とも上手くいっていない不安定な日々を送り、コロナ禍で仕事にも陰りが見え始めた。
  • そんな時にグループホームの世話人募集の求人を見つけ、応募する。

さまざまな心の傷や病を抱えている人に、住む場所だけでなく心の拠り所を提供する仕事だと知った。自分のように、居場所のない人間がしていい仕事だろうかという思いとともに、この仕事をやってみたいという気持ちが、強く沸き起こっていた。自分の過去も含めて、正直な気持ちを話すと、責任者の方は、じっくり話を聞いてくれたうえで、あなたのような方に来てほしいと言ってくれた。

 それから一年、肉体的にも精神的にも大変なことは多々あるが、潤子さんはこれまで味わったことのないようなやりがいを感じるとともに、今まで苦労したことも無駄ではなかったと思えるようになった。彼に対しても、依存する気持ちが薄らぎ、自分の人生は自分で切り開いていこうと思えるように変わったという。

『不安型愛着スタイル 他人の顔色に支配される人々』221頁、発行:2022年11月30日、著者:岡田尊司、発行所:株式会社光文社(太字強調はブログ筆者によるもの)

当事者の経験と直感、さらに知識を武器にする

傷を負った当事者が他人を支援する側に回ることは、非現実的なことではないことを見てきました。決して、偉大な人々だから成し遂げられたというわけではありません。あなた自身も、人を助けることができるのです。当事者だから、見える世界がある。当事者だから、苦しんでいる人の気持ちを察して、寄り添うことができます。

だからといって、「他人を助ける支援者になりましょう、仕事にしましょう」というつもりはありません。多くの人は、既に自身が置かれた環境の中で苦しみ、時には簡単には仕事を変えることもできません。自分の問題で手一杯という人が多いのも現実です。

ただ、一つの選択肢として、あなたの苦しんだ経験が誰かを救うことができる、ということを示したいのです。

そしてそのために勉強することは、たとえ仕事にするつもりではなくても、「知識」は武器になります。毒親問題はまず知ることから始まる、ともいわれます。自分の生きづらさを知る、家族の違和感を知る、毒親の異常さを知る……自分ではなく相手が異常だったんだ、と知ると、自責する必要はなくなります。

当事者の方は、本を読んで勉強する方が多いです。私もこのタイプです。ただ誰もが本で学ぶことが適しているわけではありません。自分でたくさんの本を探すよりも、講師から体系的に学んだ方が効率がいい、という場合もあります。

効率的に学ぶには通信講座を利用する

そこで、資格スクールや通信講座も一つの方法です。資格のスクールや講座を受ける目的は、必ずしも資格取得だけではありません。学ぶことそのものが目的の場合もあります。その勉強の中で資格を取りたい、資格を生かした仕事に就きたい、と思えば新しい道も開けますね。

【SARAスクール】は女性が在宅でも資格勉強できることを特徴としています。「心理学」に関する講座も豊富ですので、きっと興味を持つものがあると思います。

SARAスクールの心理学系講座の一例
  • 心理カウンセラー
  • こども心理(児童心理)
  • 音楽療法
  • 行動心理
  • 福祉心理
  • 夫婦・家族心理
  • アンガーカウンセラー(アンガーコントロール)
  • その他複数あり

受講卒業するだけで資格取得できるのもありがたいですね。試験会場で受験、というのもあまりいい気分じゃありませんからね……。受講料はかかりますが、資料請求は無料です。私も仕事に関連するので検討中です。

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まとめ:当事者には人を救い癒す力がある

今回はかなり長くなりましたが、Webライターのクライアント様からの声や、参考書籍から、学んだことを纏めました。当事者が苦しんだ経験を人の役に立てたいと考えている人は多く、またその相性がいいということです。

よく「自己肯定感をあげる」「呼び寄せ」などの言葉はSNSでも見かけますが、私は正直反発心を抱きます。薄っぺらく感じます。一方で、苦しんだ当事者からカウンセラーに回ったというあるフォロワーさんの発信は、不思議と上から目線ではなく、寄り添ってくれる感じがして好きです

当事者が醸し出す雰囲気というのがあるのかもしれません。苦しんでいる人には綺麗ごとや正論をぶつけると余計に傷つく、ということを知っているから、苦しみに寄り添う言葉が出てくるのでしょう。

苦しんだ経験をした人は、苦しんでいる人の求めているものを察することができます。だからこそ優れた支援者になれるのです。苦しんだ経験は無駄ではなかった、誰かの役に立てる、という経験をすることで自分自身を癒すことにもつながります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考図書

ABOUT ME
たまお
独身30代女。一人暮らし+猫7匹+地域猫。保護した子猫がなかなか譲渡が決まらない。 自分は恵まれていると思っていたら、実はプチ毒親プチ機能不全家庭育ちで生きづらさを抱えているのだと発覚した。 現在「生きづらさ」とは違う「自分らしさ」を模索中。 別ブログには、20代後半の婚活について振り返り中。https://konkatsu.tamaogatari.com/